「シズク・・・、この辺りにもパウダストがいるですだ」
『仕方ないわね、交代するわよっ』
目の前のパウダスト達は扉の前をうろうろと飛び回っていた。
中々扉から離れてくれる様子も無く、このままでは埒があかない。

「一旦、通路側に誘導するしか無いわね」
パウダストの方へとゆっくり近づく私達。
近いかと思われる距離でも、相手は知能の低い毒蛾であるせいかあまり気付いていない。
「・・・もう少し、近づかないと」
一歩を踏み出す。






突如、体が何かに掴まれた。
丁度自分の真上に、不気味なクモの体があったのだ。

「! ここにもクモーレンが!!?」
『シシ、シズクッ!』
しまった、目の前のパウダストに気を取られて天井の注意を怠っていたのだ。
この至近距離では爆弾を投げてもこちらが危ない。
『銃は!? ナイフは!?』
「無理よ! クモーレンの体は硬くて、爆弾でもない限り吹き飛ばせないわ!!
必死でもがくものの、
先程ミッドバットの巣の誘爆に失敗していたせいで、
ダメージが蓄積していた体に力が入らなかった。



「っ、あっっ!」
クレーンのように、いや、それ以上の速さで天井の巣へと連れて行かれ、
巣の粘着糸が体に張り付く。
「くっ・・・! 噂には聞いていたけど、なんて強い粘着性なの・・・!」
カサッカサッ とクモーレンの、私を掴んでいたもの以外の残りの足が動き始める。

『あわわわわっ!! た、た、助けて! 助けてぇえっ!!』
「これはもう・・・打つ手、無しだわっ・・・・・・」



最後に見えたのは、私を食べようと横に開いた、不気味で巨大な口。
最後に感じたのは、鋭い歯が刺さる感覚、身を食いちぎられた感覚。

そして天井に見える光景は、






死後間も無い、痙攣して震えた体。
巣から垂れ落ちてくる、赤い雫。







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