「いよいよ来るか? ミカエル・・・」
「・・・・・・知るか・・・。
 1つ言える事は、天使達はオレ達によって殺される、それだけだ」
「ミカエルさんとまた会えるのかぁ・・・ ウリエルも来てるかなぁ? ふふふっ・・・」
ムルムルとアーモンとカーリムが飛び立って行った後のサターンの城に、
魔界屈指の3大勢力が集まっていた。

「子供は城の地下にでも隠れてたらどうなんだ、ルシフェル。
 アスタルトも、さっさと故郷へと帰ったらどうなんだ」
雷の自然属性を持つ、『技術力誇る西の大公爵・アスタルト』

「そういうてめぇこそが先にくたばるんだな。
 てめぇを見てると虫酸が走るんだ。
 サターン様の命が無ければ、てめぇら2人はオレの手で切り刻まれてんだよ」
風の自然属性を持つ、『力求める南の悪魔准王・ベルゼブル』

「ひどいなー2人ともっ!
 ボクだって本気を出せば、2人も含めてちょちょいのパーなんだよう!?」
水の自然属性を持つ、『激流起こす北の堕天使・ルシフェル』

三つ巴の関係であるものの、この3人が魔界の中心に集結している今、
戦局は見えなくなって来たも同然である。


「さて・・・せいぜい足掻けよ、『熾天使最高位総束長・ミカエル』ッ!!!






「もうすぐ、ミカエルさんと鉢合わせする頃でしょうね」
「ムルムルが一応、あのリルースって子だっけ?
 その子にもミカエルさんと戦わせたって言ってたけどー・・・
 ・・・果たして結果はどーなったやら」
サターンの城からムルムルよりも先に飛び出していった、アーモンとカーリム。
途中でムルムルからテレパシーを受信し、一度落ち合った2人は
再びミカエルのいる方へと移動していた。

「・・・さぁて、ボク達の行動はどうすべきかなぁ」
「戦闘経験で言えば、カーリム・・・あなたの方が強いでしょう。
 強い者は後に控えるというのが鉄則、・・・ならば、私が先に行っておきましょう」
アーモンの提案に、カーリムはすぐに頷く。
カーリムが待機、アーモンが先に応戦するという戦法をとる事になった。
「アーモン、君も無茶は厳禁だよ?」
「わかっていますともっ」
アーモンがニッコリと微笑み返し、高速飛行をしていたカーリムは急停止する。
そしてアーモンはそのまま、地の彼方へと走っていった。





辺境から少しずつ賑わってきた魔界の近くを、ミカエルは飛んでいた。
「確かこの辺りに・・・・・・」
ミカエルはキョロキョロと辺りを見回す。
「・・・ありましたっ」

見るとそこには、底が真っ暗で見えない大穴が空いていた。
この大穴は下界の罪人を幽閉する為の場所、『地獄』への地下通路の入り口であった。
しかしその入り口は何も1つだけではない。
地下通路は罪人が簡単に脱出出来ないよう迷路状に入り組んでおり、
下手に入ってしまえばそのまま出口が見つからなくなる事だってある。


「この方向を真っすぐ・・・出口は・・・」
しかしミカエルはメタトルムがいた頃はナフィエルと同じ側近の1人であった為、
サターンが、メタトルムがいたために大人しかった頃に、メタトルムとともに
魔界へ出張に行く際に地獄の管理も出来ているかどうか見回りもしていた。
そのため、ミカエルは地獄の地下通路がどうなっているのかは、ある程度暗記していたのだ。


「魔界の上側を無理して通る必要はありませんからね。
 ・・・ですが、不用意に侵入している悪魔が沢山いますね」
天使の姿を見るやいなや、軍に入っていないはずの悪魔達が容赦なく襲いかかってくる。
この地下通路で迷った結果、平常心を保てなくなった悪魔達が攻撃的に豹変していたのだ。
『ゴァアアア゛ア゛!!』
『ガルルルルル!!!』

攻撃的なせいかほとんどがミカエルを狙う弾ばかりであった。
だが切り返しの上手かったミカエルはその弾を誘導し、回避スペースをあらかじめ作る。
「狙っているだけでは、当たるはずの弾も当たるわけが無いですよっ!」
ミカエルは例の如く火炎弾を浴びせつづける。
しかし、

「!」
倒された悪魔達が小さな爆発を起こし、体の破片が弾へと変化して弾け飛ぶ。
エネルギーで出来ていた体が不安定になったために、破裂してしまったのだ。
「ある意味カウンター攻撃ですねっ」
弾けとんだ弾は当然あらぬ方向へと飛び交う。
これが1体や2体ならまだしも、十体ぐらいにもなると回避しにくくなるだろう。
とりあえず先ほどの悪魔達がいた際には、出来る限り攻撃も控えるのも一番である。
「すでに思考回路も狂ってて、全てがこちらに襲いかかって来るわけでは無さそうですね。
 中には逆方向へと逃げ出す者や、そのまま一直線に走っていってしまう者もいますし」
とりあえずミカエルの方に襲いかかって来た悪魔には仕方なく迎撃し、
弾へと変化したら落ち着いて逃げ道を探す。


「おやっ、ミカエルさんではないですか??」
「あ、サマエル君っ」
ミカエルがある地点を通過した所で、1人の悪魔と出会った。
地獄の管理人で『土』の自然属性を持つ、『サマエル』という悪魔だった。
「一体上で何をお祭り騒ぎしてるんですか。
 ここんとこかなり五月蝿くて、地下通路にまで音が響いてるんですけど」
どうやらサマエルは戦争の事情を知らされていなかったようだ。
ミカエルは今、天魔界で起きている事を全て話す。


「サターン様がっ? やれやれあの人も無茶をするんですねぇ・・・」
「サマエル君は戦争には・・・参加してないようですね」
「ボクは地獄の管理人ですよ?
 戦争に行って死んじゃったら誰がここを管理すると言うのです。
 そ・れ・に、何度も言ってますがこのカマは戦うためにあるんじゃなくって・・・」
サマエルが必死になってミカエルに説教する。
さっきもリルースに説教されていたミカエルは、今回も「急いでいるから」と言ってストップをかけた。
「とりあえず地下に音が響いてて五月蝿いので、早めに終わらして下さい。
 ボクも協力しますからっ」
そういってサマエルは『ライフバリア』という宝石と、魔力の詰まった光球をミカエルに手渡す。
ライフバリアを持っておけば、気絶する程のダメージが蓄積した際に、
ダメージを回復して復活する事が出来る。
ただしこの宝石は希少価値があるため、簡単には見つからない。

地獄への地下通路を掘っていた時に、サマエルが偶然手に入れたらしいのだ。
魔力の球によってミカエルの火炎弾はさらにパワーアップし、追尾弾も追加された。
「サマエル君っ、ありがとうございますっ!」
「あと、サターン様への城方面の出口はその先の大の字の通路を右に、そして・・・・・・」


ミカエルはサマエルから教えてもらった通りに地下通路をくぐり抜ける。
確かに、その長い通路の先の天井には上へと戻れる穴が。
「これで大分ショートカットは出来たはず!」
ミカエルは地下通路を脱出し、すぐさま魔界の空を飛ぼうとする。

「やはりこの通路を通ってきましたか、ミカエルさん!」
「!?」
地上を見下ろすと、そこにはアーモンの姿があった。
「これ以上サターン様の城の領域へと侵入するのであれば、
 この魔界裁判官アーモンが、今ここであなたに判決を下しましょう!」
「不法侵入罪と言うわけですか・・・、
 ですが私達からもサターンさんに下す罰が、あります!!
そう言って、ミカエルは地上で立ち止まっていたアーモンをスルーするかのように、
翼を広げて高速で飛び抜ける。
「! 逃がしませんよっ!!」
高速飛行をするミカエルに対し、翼の無いアーモンは同等の速さで地上を走る。
「っ!? なんて速さ・・・! 飛行速度に追いつくなんて・・・!」
全速力で走るアーモンがミカエルを追い抜き、さらに走りながら空間魔法を放ち、閉じ込めた。
「まさか・・・走りながら戦うつもりなのですか!?」
「そのまさか、ですよ!」
なんという脚力と器用さか、
アーモンは後ろ跳びをしながらの状態でミカエルの方を向き、無数の弾を放つ。
後ろ跳びとはいえ移動距離が計り知れず、先ほどの疾走から速度を全く落としていない。
しかもミカエルが空中にいるのに対し、アーモンは地上にいるのだから大分ハンデがあるはず。
しかしミカエルと十分応戦している事から、自身にとってはこれは全くハンデではないと思っているのだ。
「弾速も十分、そして弾の数も半端ではない・・・! 弾の大きさも大小混合とは・・・!」
弾に当たらないように逃げ回っていたせいで、ミカエルは先ほどサマエルからもらった
魔力の球のおかげでパワーアップした追尾弾しか当てる事が出来なかった。
追尾弾の威力は主弾と比べてもあまりにも低すぎて、中々決着がつかない。

「あなたがのんびりと戦ってる間に、十分な量の魔力が溜まりましたよ!
 必殺攻撃、『灼熱のジャンヌ・ダルク』!」
アーモンの放った大弾が、3発連続でミカエル目掛けて襲いかかる。
大弾はその間にも無数の小弾を出していたが、空間の壁に当たった時に大弾が弾け飛び、
さらにそれもまた小弾となって、空間内はすでに小弾で密集していた。
次にアーモンは空間内の左右の壁を操り、奥から手前に欠けて順に1発ずつレーザーを照射する。
「すでに死刑も同然と言う勢いですね・・・!」
小弾は全て弾けとんで出来たものであった為、予期せぬ方向から飛んで来るものが多かった。
しかもまだ壁に当たって消えてないうちから、アーモンが再び小弾をばらまく大弾を発射したため、
あっというまに逃げ場なんか見当たらない状態と化していた。
「こればかりは運に頼るしかありません・・・っ、早く倒さねば!」
ミカエルもまた攻撃の手を休めない。
主弾はなかなか当たらなくとも、追尾弾がジワジワとアーモンにダメージを重ねていく。
もしも追尾弾が無ければ、時間はもっとかかっていた事だろう。


「くっ・・・! 魔力が無くなりかけてる・・・仕方ありませんねっ」
アーモンは自ら必殺攻撃を中断し、空間魔法も解く。
「残念ですが私の出番はここまでのようです・・・あとは頼みましたよっ、カーリム!」

「オォッケーィ!」
アーモンは背中を見せて先ほど以上の速さでその場を走り去り、代わりに空中の目の前にカーリムが。
「なるほど・・・先ほどのは体力を消耗させる為の、時間稼ぎと言うわけですか」
「そーいうことっ! さ、空間魔法から脱出したばかりで申し訳ないけど・・・」
同じくカーリムも空間魔法を放ち、弾の発射準備をする。

「アーモンと戦ったんだから、ボクも楽しませてよね!」
カーリムは早速様々な方向へと小弾を放射する。
そのうちのいくつかの弾が、ある程度飛んだ所でミカエルのいる方へと飛んで来た。
「途中で変化する弾ですか・・・隙間を探さなければっ・・・!」
ミカエルは自分を狙って来た弾から逃げながら、ばらまかれた小弾の隙間を通り抜ける。
「端っこの方に行くのは、オススメ出来ないよっ!」
「!」
そう言うと、カーリムは空間の壁に沿うように外周を一周するレーザーを放った!
レーザーは着弾した場所以外はそんなに熱を帯びていず、熱量の少ない場所を通り抜ける事で十分回避出来た。
「あははははは!!!」
外周にレーザーを放った後、今度はそのレーザーを両手から挟み込むように放つ。
先ほどよりも熱量があって逃げ場が無いと思ったが、正面にまで攻撃はして来なかった。
「? な、何故正面まで攻撃しなかったんですかっ」
「それは・・・次の攻撃の準備の為っ!」
そう言ってカーリムは高速でミカエルのいる場所へと突進して来た!
すぐに気付いたミカエルはカーリムとの直撃をギリギリ回避する。
空間の壁に到達したカーリムは外周に沿いながら旋回し、弾を撃ちながら元の位置へと戻る。
「なんというアクティブな攻撃でしょうか・・・突進してくるだなんてっ」
ミカエルは、カーリムが弾を放って元の位置に戻った直後の一瞬のスキを狙って火炎弾を浴びせる。

「ここまではボクの普段の攻撃戦法さっ! とっておきの攻撃の1つ、行っちゃうよー!
『百舌鳥の早贄』っ!」
カーリムが攻撃の名前を言うと同時に、左右の壁が眩しく光る。
そこから伸びた細い光はミカエルに集中的に当たっており、嫌な予感がしたミカエルはすぐにその場を去る。
「よくわかったねぇ! ファイヤー!!」
次の瞬間、ミカエルが先ほどいた場所に集中的にレーザーが放たれた。
もしもあの場にとどまっていたら、今頃自分は消し炭になっていたのではないかと思うと、血の気が引いた。
「・・・!!」
「攻撃はレーザーだけじゃあないのさ!」
カーリムはレーザーを放ったすぐ後に大弾を様々な方向に放つ。
そのうちの1方向だけはミカエルを明らかに狙っていたため、再び必死になって回避する。
「はい、次の照射よーい!!」
大弾を回避していた時、先ほどの細い光が再びミカエルに集中的に当たる。
「くっ!」
少なくともあのレーザーは回避しなければ。
ミカエルはカーリムの猛攻を逃げ切りながら、早めに攻撃が終了するよう火炎弾を当て続ける。

「っ、おぉっと!?」
カーリムの『百舌鳥の早贄』の魔力が切れたらしく、一瞬ビックリしたカーリムは次の魔力を溜める。
「へへーんっ、まだボクにはあと3つの攻撃が残ってるんだからね!
 それまでに倒れるか倒れないかは、ミカエルさん次第だね!」
カーリムが魔力を溜めてる間は、先ほどの普段の攻撃とやらを繰り返していた。

その後カーリムは、ミカエルが端に逃げられないように空間の壁を燃やして、空中を旋回しながら弾を放つ
『涙落舌切雀(るいらくしたきりすずめ)』

奥の方に炎の壁を放って、その炎の中に隠れた後に大弾とレーザーの2重攻撃をする
『朱鷺羽色の空(ときわいろのそら)』
を出して来たが、ミカエルは全ての攻撃を避けきっていた。

「熾天使総束長をなめてもらっては困りますよ!」
ある程度の弾のパターンを全て覚えたミカエルは、カーリムの攻撃の軌道を読み切っていた。
主に行動範囲を制限するものが多かったため、回避出来る場所をあらかじめ作っておけば問題は無かったのだ。
「うぅーん・・・まさかここまでの3つを避けきるなんてねー。
 これは久々に・・・燃えて来たかなぁ?」
ふと、カーリムの声色が変わった。
何やら余裕のありそうな、怪しげな感じの笑みを見せている。
「別に使う必要なんてないと思ってたんだけど・・・やるしかないようだね!!」
カーリムは魔力をさらに溜めていく。
今までの3つの必殺攻撃とは大違いの量を、体内に蓄えていったのだ。


「これがボクの最終奥義さ! 『鶇の叫び』いっ!!」
カーリムの体が突如山吹色に揺らめく炎に包み込まれる。
その炎の間から、先ほどまで自分と同じ体型だった丸い姿はどこにも無い、
下界で言うのであれば『ニンゲン』の形をしていた。
「なっっ・・・!!」
「まさかこの必殺攻撃を使うときが来るだなんてねっ、
 一度試してみたかったんだよねぇ・・・ちゃんとした人相手にさっ!!」

炎の体を纏ったカーリムは、持っていた剣をミカエルへと投げる。
もちろんミカエルは簡単に回避をしたが、投げられたその剣は柄頭と切先の部分から小弾が放たれ、
さらにその小弾を回転して放ちながらミカエルを追尾しつづける。
「くっ、こ、この剣・・・いつまで追って来るんですかっ!」
「当然、この攻撃が止み終わるまでさ!」
剣が攻撃中の間、カーリムもまた幅広い炎の衝撃波を放ってくる。
衝撃波こそ一直線だったものの、その波動が小弾となって様々な方向へと放たれ、
より一層回避しにくい状況となった。
「今まではパターンとか回避スペースが十分にあったんだろうけど、
 こればっかりは流石にスキってものが無いでしょ!」

剣が回転しながらミカエルを追尾し、さらに弾を放っている。
そしてカーリムは直線とはいえ横幅の広い衝撃波を放ち、そこから無数の小弾を生み出している。

「直線の衝撃波に回転する剣、回転方向の決まっている弾とどこに飛ぶか分からない弾・・・!
 ある程度回避するスペースといえば・・・!」
落ち着いてミカエルは、少なからず弾が密集しないスペースを探す。
衝撃波自体は斜めに飛ぶ事が無いしミカエルを狙っているわけでもない。
剣は常時追尾して来るのだから動き回っていればぶつかることもない。
その回転軌道に合わせて動けば、柄頭と切先から放たれる小弾にも当たる事は無い。
ならば移動の際に最も厄介なのは、衝撃波から生み出された軌道がバラバラな小弾である。

「剣と常時回るような軌道で衝撃波を避け、衝撃波の小弾を避ける・・・これです!」
ミカエルは大回りしていた旋回を小回りへと切り替え、追尾する剣の切先とイタチごっこをするような旋回をする。
「げっ!? こ、このっ!」
これで剣の本体と剣の出す小弾にはまず当たらない。
カーリムは衝撃波を放ち、そこから生み出された小弾を当てようとするが、
旋回の際に回避出来る軌道をとられた為に当たらない。
「『100%当たらない』ということはありませんが、少なくとも『当たる確率』はグンと下がりましたよ!」
ミカエルは剣に当たらないように旋回をし続け、カーリムに必死の猛攻を当てる。
少しでも気を抜いたら小弾にぶつかり、剣本体にも当たってしまうだろう。


「最終奥義が・・・! 最終奥義が決まらないなんて・・・っっ!!」
カーリムが倒れるよりも速く、『鶇の叫び』の魔力が尽きた方が速かった。
もう少し早く剣の軌道トリックに気付いていれば、さらに早めに倒す事が出来ただろう。
炎の姿を纏っていたカーリムは元の姿へと戻り、その疲労によって空間魔法も解除された。
「大分時間を食ってしまいました・・・急がねば!」
カーリムが疲れて休んでいるうちに、ミカエルはその場をすぐに去る。

「アーモン・・・ごめん、倒せなかったよ・・・」
カーリムは飛行するのも限界だったらしく、地上へと落ちていった。




「ウリエル君! ラファエルちゃん! ジブリエルちゃん! こちら、ミカエルです!」
『! ミカエル様!? よかった、テレパシーが来ないので心配してたのですよ!』
「すみません、手こずってしまっていました・・・・・・。
 あの・・・レミエルちゃんの容態は? そちらの状況はどうなってますか?」
ミカエルは先ほどの戦闘の間にも気にしていた事が1つあった。
悪魔の攻撃を受け、負傷したレミエルのことである。
『そ、それが・・・機械手術は受けたようなのですが、その・・・』
ウリエルは返答に戸惑った。
しかし、状況報告を言いにくい彼の代わりにラファエルが返答する。
『・・・機械手術によって戦闘タイプへとなったようで、
 両手から、自然属性の『雷』を悪魔軍に放って攻撃し・・・防衛はしました』

「!? レミエルちゃん・・・が・・・戦闘タイプに・・・って、
 い、今あなた達はどうしているのですか!?」
『・・・・・・・・・』
テレパシーは再び沈黙する、が、かすかな飛行音だけが聞こえた。
ミカエルは今の彼らの状況を素早く理解し、しばらく黙っていた後、こう答えた。
「・・・状況は分かりました・・・一度、合流しましょう」


(土、風、水、そして雷と火・・・5大属性が確かに集まり、戦況はまだ問題は無さそうですが・・・・・・)




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