どれくらい泣いていたのだろうか。
雨の水なのか、自信の涙なのだろうか。
プリスはただ、混乱している心を少しずつ整理していきながら、
下を向いて泣いていた。

「・・・一体・・・どうしてっ・・・・・・!
 ・・・どうして・・・こんな事になったんだっ!
 ・・・・・・お父さん・・・お姉ちゃん・・・っ・・・」
「プリス・・・・・・・・・
 ・・・私は・・・あいつらの事を、少しだけなら知っている・・・」
プリスの後ろで、意味深にメーザが呟いた。
メーザのその言葉を聞いて、プリスはすぐに振り向いた。

「メーザ・・・あいつらを知ってるの・・・!?
 あいつら・・・一体何者なの!?」
プリスが強く問いかけるが、メーザは黙ったままだった。

「ねぇ、メーザッ!! 何で黙るのさっ!?
 ・・・あいつら・・・あいつらは一体・・・!?」
「さっき・・・あの紅色のカービィ・・・『トップ』が言っていた・・・。
 ・・・やつらは、機械を使って武力制圧をする悪の組織。
 ・・・『ヘルズ・パーソナル(・・・イニシャルでH・P)』だ」
「やっぱ聞き間違いじゃなかったようだな・・・
 最初その名前聞いたときは、半分信用してなかったが・・・」
ウォールもメーザも、H・Pの事について知識があるらしい。
だが、当のプリスにはH・Pが何なのかは解らなかった。

「やつらは、先程のように巨大なマシンによる実力行使や、
 電子情報系の精密作業による情報網の改竄などを得意としている・・・。
 ・・・・・・それも、わずか5年にも満たないうちに結成したのにも関わらず、
 世界的にも恐れられている組織だ・・・・・・」
「そんなやつらが・・・けど、けど何でこんな村を襲うのさ・・・!」
「あいつらにしてみたら、オレらのいるこの村は邪魔なものに過ぎないんだ。
 それを、あいつらが拠点地を増やすために取り壊す。
 ・・・邪魔な物はかたっぱしからぶち壊して行ってな・・・・・・」
プリスは、そんなH・Pの行いに我慢が出来なかった。


身勝手すぎる行いで、
父親を殺され、
実の姉を奪われ、
住んでいた村を壊され、
......だが、それは自分達だけが被ってるわけではないのだと。


「・・・そんなやつら・・・放っておけないよ・・・!」
「・・・プリス・・・?」
今まで、プリスの震えていた声が、普通に聞き取れる声になった。
「・・・ウォール・・・・・・メーザ・・・、
 ・・・・・・ボクに力を貸して・・・!
 ・・・お姉ちゃんを取り戻して、H・Pを倒しに行こうっ!!」
「「!?」」
まだ9歳のプリスが、あんなに怖い目にあってもなお、
諦めず、それどころか姉を取り戻しに、倒しに行く事を決意した。
「プリス・・・1つ、聞いてほしい事がある」
先に口を開いたのは、メーザだった。
「・・・それはつまり、暴走する恐れもある魔物があちこちをうろつく、
 『村の外』に踏み出る事になる。
 ・・・プリスは、平気か?」
「・・・・・・確かに、怖いさ・・・
 ・・・でも、さっきのあの怖さなんかと比べたら・・・
 ボクは・・・・・・絶対に行かなきゃダメなんだっ!」
物事は全て経験から学ぶ......、
プリスはまさしくそのタイプだった。
「......ふっ、じゃあ、決まりだな。
 ノベルを助けに行くためにも、やるしかない」
「・・・私も、少なからずあの組織の・・・
 ・・・あの者に、因縁がある」
「メーザ・・・そういえば、あの水色のやつは誰だったの・・・?」
「・・・・・・私がここに引っ越して来る前にいた、博学の町・『リブラルース』。
 ・・・ディアリーと私は、旧友だった・・・・・・」
プリスもウォールも、そこから先は何も問いかけなかった。
何やら因縁にしては、ただ事では無さそうだからだった。

「とりあえず・・・今の3人だけじゃあいつらと戦うには不利だろうな」
「相手に仲間が沢山いるなら、こちらも仲間を作ろう・・・
 ・・・同じ意思を持つ、仲間を探せばいい」
「相手が機械専門の『H・P』だっていうのなら・・・
 ボク達は、『RPG』! 『リアル・ピュアー・グループ』だ!」
......プリスのその発言に、ウォールとメーザは一瞬目をパチクリさせる。
「リ、リアル・・・なんて?」
「『リアル・ピュアー・グループ』! 機械のような鈍色と正反対で、
 現実と自然を好むグループだよっ!」
「・・・なるほど・・・機械や情報のような現実離れしている『H・P』に対し、
 自然や現実という生物には欠かせないグループ・・・というわけだな」
メーザに言われて、ウォールはようやく理解した。
ウォールも、そのグループ名はとりあえず気に入り、採用する事になった。

「お姉ちゃん・・・待っててねっ・・・!!」
「旅は道連れ。丁度いい修行にもなるなっ」
「・・・長い運動になりそうだ・・・」


RPG(リアル・ピュアー・グループ)、結成だ!!」
雨が止み、雲の隙間から差し込む日の光とともに、冒険が始まる。
失った沢山のものは、1つ1つが重かった。
その重さを、『H・P』に教えてみせる。
『RPG』は、ここから始まった。







〜APPEAR WORD IN NEXT STORY〜

『メガクーリの町』の名前の由来って・・・何?」
「冒険につきものって言えば・・・」
「装備よしっ。食料よしっ。薬よしっ」
「魔物!? 目の色が明らかに違う・・・!」


〜TO BE CONTINUE......〜




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