プリスとノベルは、明日を楽しみにしていた。
久しぶりに父親と遊べるからである。
「ボクも最近、魔法が少しずつ使えるようになった事・・・褒めてくれるかなっ?」
「ふふっ、きっと褒めてくれるわよっ」
2人が話をしていると、1人の赤いカービィがこちらに寄って来た。
「おー、2人ともっ! 何だか結構ご機嫌のようだなっ」
「ウォール! 今日もいい天気だねっ!」
「久々に父と遊べるって聞いて、大はしゃぎなのよ」
『ウォール』という名のカービィは世界一の剣士になる夢を持っている。
その証拠に、腕まで覆っている兜の後ろに剣をさげている。
「お前達がこの村に来てもう3年か・・・
魔物もここ最近、何かが原因で突如暴走するケースが相次いで起こってるからな・・・
まあ、プリスの親父さんなら心配する事も無いかな?」
「・・・みんな、こんにちは・・・」
「うぉっと!? メーザ、いつの間に!」
ウォールが1人で考え込んでいると、その後ろから声がした。
声の主は、博学の村『リブラルース』から引っ越してきた、女性体の魔法使いカービィ『メーザ』だった。
「いつの間にって・・・今丁度・・・」
「相変わらず唐突な出方をするな〜・・・」
「メーザッ、今日もまた魔法を教えてくれるの?」
「・・・うん・・・教えてあげる」
プリスにしてみると魔法の師匠のような感じであり、勉強熱心なプリスはメーザの魔法に憧れて
自ら魔法を覚える知識を身につけたのだ。
「プリス、友達が沢山いるのねっ」
「えへへっ、お姉ちゃんにとっても友達でしょ?」
「うん・・・プリスだけじゃない・・・ノベルさん、あなたも・・・友達だよ・・・」
「そーそっ! ノベルだって、オレ達の友達に決まってるだろっ」
「みんな・・・・・・ありがとうっ」
そんなノベルの笑顔が、次の瞬間、消え失せた。
「・・・プリス、ウォール、メーザ・・・・・・あれ・・・何・・・!?」
「えっ・・・?」
ノベルの指を指す方向に、3人が振り返る。
その目に映った物は......。
ガシャン ガシャン ガシャン
恐らく高さで言えば5mはあるであろう、大型の4足歩行マシンが村にゆっくりと近づいてきたのだ。
『あー・・・あ・・・ゴホンッ! マイクテストー、マイクテストー』
『マイク音量OKです、リーダー』
『マシンの前進停止。向きの誤差・・・0%』
『でいりぐちのはっちに、もんだいはありまちぇん!』
マイクからはマシンの中の様々な声が発せられた。
その後マシンの上部のハッチが開き、中から1人の紅色のカービィが出てきた。
見ると、そのカービィは小さなハンドマイクを持っていた。
『あー、諸君! 我々は、知る者ぞ知る、マシンハッカー組織『H・P(ヘルズ・パーソナル)』である!』
「H・P・・・?」
「聞いた事があるぜ・・・各地にある過疎地や村とかを破壊して回っている組織だって・・・」
『村民全員に次ぐ! ここは我らの中間拠点地として、一時的に取り壊す!
なお、我らの計画の邪魔をするものには、容赦なく制裁を与える!!』
「な・・・んだと・・・!?」
声に出して驚いたウォールだけでなく、村民全員が驚きの表情を見せた。
つまり、村を捨てて生き延びるか村と運命を共にするか、その2択を迫られたのだ。
『もう一度警告する!
中間拠点地として村を壊す計画に邪魔をするものには、容赦なく制裁を与える!!
それが嫌ならば猶予時間2分の間に、この場を立ち去れ!』
「う・・・・・・」
「うわああああああ、逃げろーーっ!!」
「殺さないでええええっっ!」
「逃げるから勘弁してくれーー!!」
「道をあけろーー!! さっさと避難するんだーー!!」
警告を聞いた村民の半数以上は、パニックになりすぐに逃げ出していった。
だが、プリス・ノベル・ウォール・メーザはその場から逃げなかった。
『うん?』
4人に気付いた、先程警告を出したカービィがハンドマイクを捨て、ジャンプで目前に着地した。
「おいおいお前達よぉー、今の警告聞いてなかった訳?
このままこの場にいても中断はしねーぜ?」
「こっ、この村を破壊するだなんて!」
「絶対させないわ!」
紅色のカービィに、プリスとノベルは臨戦態勢になる。
そんな2人を見て、紅色のカービィは口笛を吹く。
「ひゅー、なかなか威勢がいいなーチビ助さん達。
けどなぁ・・・あのマシンが暴れれば、村なんてあっという間に廃墟になるんだ ぜっ!!」
突然彼はその場から後ろの方向に1回転ジャンプをし、マシンのハッチに飛び移った。
『お前ら、制裁を加えて欲しいっていうバカどもが残ったぜ』
『おやおや・・・哀れな方々ですねぇ・・・』
「...!?」
「メーザ? どうした!?」
「・・・ディアリー・・・!!」
「な、何?」
マイクから聞こえた丁寧口調の声に、メーザが過剰に反応した。
「ディアリー? ボスの名前?」
「・・・いや・・・・・・だが、だとすると・・・
さっきのあの紅色のやつが・・・・・・トップか」
「メーザ・・・? 知っているの・・・?」
「・・・・・・・・・・・・」
メーザが黙り込んだすぐ後、マシンが突然前進をし始めた!
このままでは村が踏みつぶされてしまう!
「く・・・! このマシン、剣なんて効くのか!?」
「やってみるしかない・・・! △△◯『ヒボウ』!」
メーザがマシンに向かって、魔法で作り出した火の玉を飛ばした!
しかし命中したものの、ダメージを全く受けていない。
「魔法が効いてないだと・・・?! 一か八か、剣で戦ってやる!」
続いてウォールがマシンの脚に斬りつけたが、これもまた傷一つ付いていない。
「そ、そんな・・・!」
「プリス! みんな!! 大丈夫か!?」
「!? お父さんっ!」
騒ぎの中、後ろからカーミラがやってきた。
そしてそのままジャンプして4人を飛び越えると、愛用の剣でマシン胴体を斜めに切り裂いた!
ズバッ!!
『うぉっ!?』
『マシン装甲一部損傷! 内部回路・・・問題はありません!』
『なんだあいつは・・・! さては・・・伝説の、『スターヤード』一族か!!』
『トップ様、どうしましょうか?』
『どうするも無いだろ。 ・・・相手が伝説の一族であってもな、
オレ達の邪魔をするヤツは敵なんだよ。 ・・・消せ』
メーザの言う通り、紅色のカービィの名前は『トップ』であった。
トップは、相手がスターヤードの血を引くものであっても、容赦なく攻撃の命令を下した。
〜APPEAR WORD IN NEXT STORY〜
「おぉっと? 友達をかばってる暇なんて、あるのかよ?」
「中々肝の据わった女だな・・・」
「行くなっ! よせ!! ノベルゥッッ!!」
「お父さんっ・・・!! お姉ちゃぁあーーんっっ!!!!」
〜TO BE CONTINUE......〜
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